お盆ってことで。みえちゃった?話。
まあ、世の中のカレンダーとは関係なくたまたま休みでヒマなだけなんだけど。
みえちゃった?時の話をふと思い出した。
あれは、高校1年生の時。
バレーボール部に所属していたんだけど、弱小ながらも、いっちょまえに夏合宿というものがありまして。
1週間の、避暑地での共同生活。
たとえ苦しい練習があったって(実際は弱小なので全然テキトーな練習w)、しばらく家族に会えなくたって(友達と過ごす方がよっぽど嬉しいw)、あたい、頑張る!!頑張るから!!
と、背中の羽を隠しつつ出発。
快適に新幹線なんか使っちゃって、北陸地方へ。
1日目は、移動だけでおしまい。
1週間の宿となる古…いや歴史を感じさせる佇まいの旅館をあちこち探検し、ふざけて布団部屋に潜り込んでみたり。
高校生なんてクソガキが色気づいたくらいのもんですからね。
まだ色気づくだいぶ手前だった私は、もうクソガキの大将よろしく、友達や先輩にいたずらしかけまくり。
部員は1、2年生合わせて全員で10名(少なw)だったので、与えられてた2部屋のうち、1部屋を荷物置き場&身支度部屋に使うことにして、もう1部屋の方で多少ギュウギュウしながら雑魚寝することに。
雑魚寝部屋の方は角部屋で窓が2方向にあって、2階だったのもあってか風通しが良く快適だった。
こんな感じで1日目は、なんの問題もなく終了。
2日目。
省略。練習をふざけて楽しくやったくらいしか記憶がない。
3日目。
やや疲れが見え始める。夜も楽しく遊んじゃうので寝不足気味。
4日目。
だんだんそれぞれのペースで生活するようになってくる。
その頃から、早飯早◯◯芸のうち、と、なんでも時間をかけようと思ってもかけられない、良く言えば手持ちぶさた時間を作るのが得意だった(良くは言えてない)私は、みんながゆっくり温泉を楽しんでる時間に、すでに上がって部屋で涼んでいた。
すると、1人友達が上がってきた。
北陸の夕方は、夏でもクーラーいらないんだね、うらやましいな、と、網戸のない窓から、ぼんやりと向かいのお店の玄関辺りを見ていた。
お店は真っ暗で、その日は休みのようだった。
ん??
なんだ??
こっち見てる??
男の人が、真っ暗なお店の前に立っている。
身体ごとこちらを向いて、私たちを見ている。
凝視、といった方がしっくりくるくらいの目つきだ。
薄暗くて、顔ははっきりわからない。
でも、目だけが少しだけ光ってこちらを見ている。
(ジロジロ見てんじゃねーよ!!)
怖いもの知らずの高校生、ややビビって心の中でそう叫んだ。
あいつがどっか行くまで絶対に目を逸らさない、と決めた。
直後、友達との会話が途切れた。
「…さっきからさ、あそこにいる人、めっちゃこっち見てるよね?ずっと目あってんだけど。なにあれ」
つい口にしてしまう。
すると、友達が
「えっ!やっぱり?私もさっきから、あの人ずっとこっち見てて気持ち悪いな、って思ってたんだ…」
「えっ」「えっ」
一瞬、お互いが顔を合わせることで、2人して男から目を逸らしてしまった。
すぐに視線を戻す。
その間わずか1秒にも満たなかった。はず。
いない!!
1秒以内に隠れられるような場所はどう見てもない!!
多めにみて、5秒あっても不可能な場所…
しかも、ジャリを踏む音などの物音も全くしていない!
それを把握するまでに、2人で5秒ほど無言で固まった。
隣の部屋から、楽しそうな話し声や笑い声が聞こえていた。
みんなが温泉から戻ってきていた。
「「ぎゃーーーーーー!!」」
隣の部屋に転がり込んだ。
「なに?!2人して青い顔してwどうしたの?」
「また〜w演技して怖がらせようとしてんでしょw」
誰もまともに取り合ってはくれなかった。
まあ、初日からいたずらしまくったから仕方ないか。
その後は、ビビってその窓に近寄るのを頑なに避け続け、しまいには荷物部屋で寝ていた。
そして1週間の合宿は一応無事終了。
自分1人だったら、きっと今でも、「あれは気のせい」で済ましてたんだけどなぁ。
まさかの、友達と一緒にみてしまったっぽいので、むりやりな否定もできなくなってしまった。
ああいう感じでみえるんだ…ってのはわかった。
なんというか、輪郭がぼやけてて、周りの闇と溶け合ってるような。
でも、向こうがこちらを向いていれば目はしっかり見える。
自称みえない気づけない人でやってきたのになぁ。
とまあ、今でも半分信じられないけど、生まれて初めてみえちゃった?時の話でした。